【う】丑

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『う』丑

 

丑年生まれです。

わたしが生まれたとき、同じ丑年生まれの祖父はたいそう喜んで、べろべろにかわいがってくれたそうな。

家の天井にミラーボールをつけ、わたしを抱いて、当時流行していたキョンキョンの『なんてったってアイドル』を熱唱していたらしい。

両家にとっての初孫だったので、ハゲでお世辞にもかわいい赤ちゃんとは言いがたかったにも関わらず、皆がわたしをかわいがりたおした。

人生に三度来るといわれているモテ期を、わたしは幼少期にいっぺんに消費したんじゃないかと思う。

そして丑年にちなんで、あらゆる牛グッズが島田家に集結することとなる。

食器やら衣類やら小物やら。牛グッズを取り扱っているお店があると聞けば買いに走った。らしい。

なかでも常軌を逸していたのは、モーモちゃんというでっかい牛のぬいぐるみ。

高さとしては小学一年生くらいのサイズだったのではないかと思う。

おおきけりゃおおきいほどうれしいのが子ども。とても気に入ってかわいがっていた。

しかし小学校にあがってすこししたころ、実家のリフォームにあたり一時的にマンションに引っ越した際、どさくさにまぎれてモーモちゃんは捨てられた。

半泣きでなぜ捨てたと問うわたしに母は言った。

「ダニとかホコリとかすごそうだから(あとじゃまだから)」

 

・・・

 

干支の昔話を知っていますか?

むかしむかし、まだ干支がなかったころ、ある年の暮れに神さまが動物たちにお触れをだしました。

「1月1日の朝、新年の挨拶にいらっしゃい。はやく到着した順に1番目から12番目までの動物を一年間その年の大将にしてあげましょう」

牛さんは自分の足がのろいので、はやめに支度をして夜まだ暗いうちからえっちらおっちら出発しました。

朝になり、やっと神さまのおうちの前に到着した牛さん、門の前にはまだだれもいなく、「おらが一番だ!」と喜んだのも束の間、牛の頭の上からぴょんっとねずみが飛び降りてきて一番に並んでしまいました。

ねずみは牛が夜のうちから出発するのを見ていて、「こりゃいいや」と牛の頭に乗っかってきたのでした。

こうして牛さんは二番目の干支になったのです。

 

ねずみ!!

 

牛も頭の上にねずみ乗ってるのに気づかないのはどうなのかしらね。

そして目の前で一番をかっさらわれて、文句のひとつも言わず、おとなしく二番におさまる牛。

この干支の話に出てくる牛は、どことなくどんくさい。

でもいいやつだな、牛。

昔話ってどこか教訓めいたことも感じさせるもので。

わたしはこの話を聞いて、ねずみずるい!ひどい!牛かわいそう!と思いながらも、自分の足がのろいことをちゃんと自覚していて早めに出発する健気な姿勢や、ねずみを(知らず知らず)運んであげた上に一番をとられても怒ったりしない牛を、えらいもんだなぁと思った。

自分も丑年なんだから、この牛のようにおっとりと広い心をもって生きていかねばと思ったのでした。

夜のうちに出発ってフライングなんじゃないの??って議論は、今はよそにおいときましょうね。

他の干支についてのお話はわすれてしまったので、気になる人は各自しらべてみてくださいね。

あ、ねずみが猫にわざと一日おくれの日付を教えたせいで、猫は干支に入れなかったって話もあったね。

ねずみ、やっぱ見過ごせないやつ。