卒業制作展

平成24年度武蔵野美術大学卒業制作展(2013.1.17-20)が終了いたしました。
展示の前後はバタバタとしていて、お知らせをするのも日記を書くのも随分おそくなってしまいました。
ご来場くださったみなさま、応援してくださったみなさま、本当にありがとうございました。 

 

イラストを描くことに心を傾けてきた四年間、いいイラストを描けるようになりたいとずっと思っていました。

幸運なことに学生時代からお仕事をさせていただく機会もありましたが、コンペには落ち通しだし、自分の中では迷いもたくさんあって。
ただ、ずっと心に決めて大切にしてきたことがあって、それは「物語の感じられる」作品をつくろう、ということでした。
そこで、本の世界に目を向けました。

イラストレーションと小説はとても近しいものです。

装丁や挿絵といった関係だけでなく、非現実の中の現実を描き出すものとして、表現の姿勢がとても似通っていると思うのです。

小説の世界観をあらわすイラストレーション、それがわたしの卒業制作のテーマとなりました。

もととなる小説には川上弘美という小説家の作品を選びました。

以前から、彼女の作品を愛読していて、現実と非現実の入り交じる世界観や、言葉のつかい方、空気感、そのすべてに魅了され癒されていたのです。

 

余談ですが、彼女の作品に出会ったのは、奇しくも前の大学で教職課程を受講しているときのことでした。

国語の模擬授業で川上弘美の『神様』を担当することになったのです。

「わたし」と「くま」の不思議で和やかな、しかしどこかさみしげなお話。
日本文学科などとは名ばかりで、語彙力もなく言葉足らずなわたしには作品の素晴らしさをうまく伝えられないのですが、

『神様』を何度も読み返すうちに、からだがあったかくなるような、なんだか泣きそうな、そんな気持ちになりました。

どんな模擬授業をしたのかすっかり忘れてしまったけど(しかも、たしか教授の評価はあんまりよくなかったけど)、

授業を終えたあとに、特に仲よくない同級生から「朗読がよかった」と言われたことと、その日は風邪をひいていて鼻声だったことを覚えています。

あと、それまでは先生になんてなれる気がしないし、なりたくもないと思っていたけど、「なってもいいかな」とすこしだけ思ったような気がします。
美大受験を決めたことで教育実習へ行くのを断念したため、教員免許は持っていません。後悔はしていません。だってなる気なかったし笑
ただ、教職課程をとっていてよかったと思います。不思議なかたちで川上弘美の作品に出会えてよかった。

 

話は戻って。
そういうわけで(どういうわけで?)川上弘美の作品が卒制テーマにぴったりだと思ったのです。
というか、川上弘美の世界観を描きたい!と思ったのです。いろいろゴタク並べたけど結局、純粋な気持ちはそこ。

小説(エッセイ含む)20冊分、イラストレーションと文章あわせて40点制作しました。
文章は小説の中から独断と偏見で、その世界観を伝えるイラストにふさわしいと思える部分を抜き出して。

イラストと同じく手書きにこだわって、文字もすべて手で書きました。
手書きだってこと、あんまり気づいてもらえなくて、印刷したと思われてしまったり、

「なんで手書きじゃなきゃいけないの?」 と言われてしまったり、人知れず傷つきへこんだりもしたのですが。。

だってすごい時間かけたし!丁寧に丁寧に一文字一文字こころをこめて!・・・って、まぁほんと、言うたら自己満足なんですよね。

でも、やらなきゃよかったとか無駄だったとかは思っていません。 
その意味をうまく伝えられなかった(プレゼンでも、見にきてくれた方たちに対しても・・・)のは、わたしの落ち度だと思う。

どう伝えてよいのか、今もわからないんです。なんで手書きじゃないといけなかったのか。 

一文字一文字かいていくなかで、物語をもっともっと読み込んでいくような、消化していくような、昇華されるような感覚も。
もととなった作品に対する敬意も。自分というものとリンクしていく感覚も。 全部全部大事で。 

・・・でもそれを伝えられなかったら、意味がない。「理解してもらえなかった」とか甘えだし。

だから「自己満足」ってことでいいのかもしれない笑

 

わたしの卒業制作、それほど評価はされなかったけど、自分にとってすごく大きな意味のあるものになったと思います。
このテーマでやって本当によかった。これからも同じような姿勢で制作に向き合いたい。
ひとつのことを続けることの苦しさも、手を抜いたらすごく後悔するってことも、 それでも真剣に向き合っていけばどんどんたのしくなっていくってことも知れた。

もっと絵がうまくなりたい、いい絵をかけるようになりたい。

あと、プレゼンも、もうちょっと上手にならんとね。
自己満足から抜け出して、 人のこころになにか残せるようなイラストレーターになるべく、精進いたします。

 

二度も大学にいくなんて阿呆なことを許し、応援してくれた両親、家族、

本当にやりたいことで卒業制作をさせてくださった板東先生、

一緒に教室を素敵な展示会場へと変貌させた410のみんな、

大好きなあんでぃ、グマちゃん、

その他、たくさんお世話になった方たち、
あ、たくさんご迷惑をおかけした研究室のみなさんも、

本当にありがとうございました。

 

なんかこんな風に書くと、え?死ぬの?って感じだけど笑

そして卒業できなかったら笑えないけど笑
ひとつの大きな区切りということで。 
ありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。